歯が痛くないのに虫歯にかかっている可能性はありますか? blog

2021.07.15

 

歯に痛みを感じると虫歯を予感する人は多いでしょう。

逆にいえば、歯に痛みがなければ虫歯がないと思っている人は多いでしょうが、

実際には「歯が痛くない=虫歯がない」とは限りません。


つまり、現状歯が痛くない人でも診察すれば虫歯が発覚する可能性があるのです。

そこで、今回は虫歯と歯の痛みの関係について解説していきます。
 

歯の構造

そもそも、虫歯になるとなぜ歯が痛くなるのでしょうか。

これは歯の構造を知ることで理解できます。

歯の構造を簡単に説明すると以下のようになっています。
 

  • エナメル質:歯の表面の組織で、象牙質を保護している
  • 象牙質:エナメル質の奥にある組織で、歯の主体をなしている硬組織
  • 神経:象牙質の下にあり、脳に感覚を伝える

 
つまり、歯は象牙質が主体となってできており、象牙質が刺激を受けることで神経に刺激が伝わります。

刺激は痛みという感覚となって脳に伝わり、その瞬間に「歯が痛い」と感じます。

そして、象牙質をこのような刺激から保護しているのがエナメル質です。
 

虫歯になると歯が痛くなる理由

上記で説明したとおり、象牙質が刺激を受けることで歯に痛みを感じます。

虫歯は歯の表面に発症しますが、ここで細菌が悪さをしても歯が痛むことはなく、

なぜなら歯の表面はエナメル質によって保護されているからです。


しかし、虫歯が進行すると歯に穴があくため、患部のエナメル質が破損してしまいます。

そうなると、患部は象牙質が露出するため、象牙質が刺激を受けるようになってしまうのです。

これが虫歯によって歯が痛くなる理由であり、つまり次のようにまとめることができます。


「虫歯が進行することでエナメル質が失われ、象牙質が露出することで痛みを感じるようになる」


この点から分かるのは、虫歯が進行することで歯に痛みを感じるということであり、

言い換えれば虫歯が進行していなければ歯に痛みを感じません。

つまり、進行前の初期の虫歯の場合、歯に痛みを感じないということになるのです。
 

痛みの正体

虫歯で歯に痛みを感じるのは、虫歯が進行して象牙質が刺激を受けてしまうのが理由です。

では、「刺激」とは一体何なのでしょうか。刺激とはさまざまで、例えば以下のようなことが該当します。
 

  • 熱さや冷たさ
  • 触れる、ぶつけるなどの衝撃
  • 風が当たる

 
象牙質がこのような刺激を受けることで、歯が一瞬痛み・しみを感じるようになります。

これは知覚過敏と呼ばれる症状で、つまり虫歯の痛みの正体は知覚過敏によるものです。

ただし、「虫歯の痛み=知覚過敏」とは限らず、神経の炎症によって痛みを感じることもあります。


この場合、虫歯はさらに進行した状態になっており、象牙質だけでなく神経まで進行していることになります。

また、神経の炎症による痛みは知覚過敏のように一瞬のものではなく、

常に痛みを感じてしまい、さらにその痛みもズキズキと激しいものになります。
 

虫歯で痛みを感じないケース

ここまでの解説から分かるとおり、進行前の初期の虫歯の場合は歯に痛みを感じることがありません。

しかし、虫歯が進行している場合も痛みを感じることがあり、具体的には以下のケースが挙げられます。
 

神経を失った虫歯

虫歯が象牙質まで進行すると知覚過敏によって歯に痛みを感じるようになり、

さらに神経まで進行することでズキズキとした激痛を感じるようになります。

ここでも虫歯を放置すると神経が死んでしまい、感覚を失ってしまうのです。

そのため、虫歯が進行して神経を失ってしまった場合、重症化した虫歯でも痛みを感じなくなります。
 

神経を失った歯の二次虫歯

虫歯で神経を失っている場合、失った神経を取り戻すことはできません。

そのため、例え虫歯を治療しても神経は失ったままですから、

その歯が再度虫歯になった場合、知覚過敏や神経の炎症が起こることはありません。

つまり、最初の虫歯で神経を失った歯の二次虫歯においては、痛みを感じることがないのです。
 

まとめ

いかがでしたか?

最後に、虫歯と歯の痛みの関係についてまとめます。


1. 歯の構造 :歯の表面にエナメル質があり、その奥に象牙質、象牙質の下に神経が存在する

2. 虫歯になると歯が痛くなる理由 :虫歯の進行によってエナメル質が失われ、象牙質が露出するため

3. 痛みの正体 :温度や衝撃などの刺激による知覚過敏、もしくは神経の炎症

4. 虫歯で痛みを感じないケース :神経を失った虫歯、神経を失った歯の二次虫歯


これら4つのことから、虫歯と歯の痛みの関係について分かります。

このように、虫歯でも歯に痛みを感じないケースがある以上、

「歯が痛くない=虫歯がない」とは言い切れないということになります。


虫歯の有無は歯の痛みの有無は参考程度にしかならず、正確に知るには歯科医院で検診を受けることです。

もっとも、例え虫歯が発症していても痛みを感じないほど初期の虫歯なら、

ケア次第で歯を削ることなく治せる可能性が高いでしょう。