歯周病治療 shishubyou

歯周病とはどういうものか

歯と歯肉境目のことを歯肉溝(歯周ポケット)といいます。歯肉溝に汚れが溜まること(歯垢の発生)でそこに歯周病原細菌が棲み付き増殖して、細菌が産生する毒素で炎症を引き起こす感染性炎症性疾患であります。
この炎症が起こった状態のことを歯周病と呼びます。歯周病は痛みこそ少ないものの慢性的にその症状は徐々に進行していき、最終的には歯が動揺して噛めなくなり抜歯となる恐ろしい疾患です。

当院に初めてお越しいただく患者様の中には歯周病という言葉は知ってても、意外と歯周病の病気について知らない方が多くいらっしゃいます。2024年の厚生労働省の調査(歯科疾患実態調査)では歯周病の患者は40歳代から急激に増えはじめて年齢とともに増加しています。75歳以上の方にいたっては10年前と比べおよそ二倍の歯周病患者の割合に増加しています。

また、近年歯周病は生活習慣病として位置づけられており食習慣、歯磨き習慣、喫煙、さらに糖尿病などの全身性疾患との関連性がさかんに言われております。

歯周病になる原因

口の中には約300から500を超える種類の細菌が住んでいると言われています。その細菌の中にレッドコンプレックスという悪い細菌グループが存在し、その菌の量が多いと特に歯周病が悪化しやすいです。
口の中が清潔に管理されていればそれらの細菌は悪い影響を及ぼしませんが、ブラッシングが不充分だったり甘いものを多く食べたり間食が多かったり、不摂生な生活習慣をすると細菌が増殖し、ねばねばとした物質を生み出します。
その物質をプラーク(歯垢)といい、歯の表面にくっつきますが粘着性・吸着力が強いのでうがい程度では落とすことができず細菌バイオフィルムを形成します。このプラークやバイオフィルムは1ミリグラムの中におよそ10億の細菌が住んでいて、その細菌が原因でむし歯や歯周病が引き起こされます。

更にこれらの細菌は腫れた歯肉などの毛細血管から血液中に入ることで全身へまわり脳梗塞や心筋梗塞の原因になったり、糖尿病などの慢性疾患との関係もあり、また脳内にも影響を及ぼし認知症との関連性があるという報告がございます。それと高齢者にとっては誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

また以下の生活習慣があると歯周病の進行が重症化されると言われています。

  • 歯ぎしり、噛みしめ、食いしばり
  • 不規則な食生活(間食)
  • 喫煙
  • 過度のストレス、不安

まずは歯周病の検査

歯周病に罹患していることを確認するには歯周組織の検査が必要です。菊地歯科医院では以下の検査から必要な項目を選択し、患者様の一人一人の歯周病の状態を把握して歯周病治療を行っております。

  1. 歯周ポケット検査(プロービング検査)にて歯周ポケットの深さを測定します
  2. 歯周ポケットからの出血の有無を調べます
  3. 歯の動揺
  4. レントゲン検査により歯槽骨の状態を調べます
  5. CT検査(歯周病による歯槽骨の吸収状態を3次元的に把握)
  6. 位相差顕微鏡による細菌検査
  7. 口腔内カラー写真
  8. 咬合検査(噛み合わせを調べる検査)

歯周病の治療

1.歯周病の検査にて歯周病の診断と治療計画が決まったら、まず最初に歯周基本治療を行います。

①ブラッシング指導(プラークコントロール)

プラークコントロールは歯周病治療で最も重要です。歯肉縁上・縁下のプラークを可能な限り除去し、その状態を維持することは歯周病の治療と予防の根幹をなします。患者様に繰り返し歯ブラシ指導を行い、モチベーションを維持し、セルフケアが一番大切であることを十分理解していただき実践していただきます。また、歯ブラシだけではなく歯間ブラシ、デンタルフロス等の補助的清掃用具や洗口剤等の併用も効果的ですので、患者様に一人一人合わせたセルフケアグッズを歯科衛生士がご提案させていただきます。

②スケーリング(歯石除去)

歯ブラシでのセルフケアレベルが上がったところで、歯の表面にこびりついたプラーク、歯石およびその他の沈着物を専用の器具にて除去します。

③スケーリング・ルートプレーニング

歯の根表面や歯周ポケット内側にこびりついた歯石や感染した汚れを専用の器具にて除去します。

④咬合調整・噛み合わせの調整

過度な噛み合わせの状態は歯周病を進行させるためです。

⑤歯ぎしり・くいしばりの治療

くいしばりや歯ぎしり癖は急速に歯周病を進行させるためマウスピースなどの装着を行ってもらう場合があります。
この一連の歯周基本治療を行うことでおよそ80%の患者様は歯周病が安定した歯肉の状態に戻ります。
※歯周基本治療後の歯周病検査結果によっては定期的なメンテナンスに進むか歯周外科治療へと進むかを検討します。

2.歯周外科治療

歯周基本治療では改善が不十分な場合は歯周外科治療へと進みます。歯周病の状態により以下の①~④手術方法から治療を選択して行っていきます。

①ポケット除去手術

歯周ポケットの除去、減少を目的として行う歯周外科手術です。歯周病の状態によって、a組織付着療法、b切除療法を行います。

②歯周組織再生療法

歯周組織を再生させることを目標として行う手術です。根分岐部病変や垂直性骨欠損などが適応となります。a歯周組織再生誘導法(GTR法)、b塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF;FGF-2)製剤を応用する方法、cエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)を応用する方法があります。

③歯周形成手術

歯周組織の解剖学的問題を改善することで、歯周病の治療と再発防止、プラークコントロールの行いやすい口腔内環境の確保を行うための手術です。

④根分岐部病変の治療

歯周炎により形成された根分岐部病変に対する治療です。aファーケーションプラスティ、bトンネリング、cルートリセクション、d根分割抜歯、e歯根分割掻爬術、f歯周組織再生療法などがあります。

歯周外科処置後は歯周組織検査を行い治療の評価をします。歯周病が安定した状態になった場合、必要であれば口腔の機能回復のため補綴装置(かぶせ物等)の作製する治療へと移行します。

3.継続管理

この継続管理が最も重要です。歯周病は進行・再発しやすい疾患のため重症化を予防し、安定した歯周組織を維持できるように患者様と共にお口の中を管理することが大切です。患者様はお家でのセルフケアのレベルを保つことと、定期的にクリニックへ通院していただき歯科衛生士のプロフェッショナルケアを受けていただくことが必要となります。

歯周病の予防法

歯周病の予防のために何より大切なのは口内にプラークを溜めないことです。
そのためには日々の生活習慣から意識して過ごす必要があります。

適切なブラッシング

プラークの元になるのは磨き残しによって歯に残った食べかすです。正しいブラッシング(歯磨き)を実践することでプラークの発生自体を防ぐことができます。それにはお口の中に合った歯ブラシと補助器具(デンタルフロス、歯間ブラシ、タフトブラシ等)が必要です。菊地歯科医院では患者様のお口の中に合ったケアグッズを多数そろえており、歯科衛生士が責任をもってお選びしております。

食生活の改善

砂糖を多く含む甘いものを控える、間食の回数を減らすなどして口内に細菌が好む環境をつくらないようにします。また、インスタント食品や炭水化物の多い食事も良くありません。野菜や果物も含めバランスの取れた食事が大切です。

歯科医院による予防治療

歯周病やむし歯になる前から歯科医院に通い、歯垢や歯石を取ってもらうことでそれらの発生を未然に防ぐことができます。
現在は予防の時代です。予防を実践することでお口の中のみならず全身の病気を未然に防ぎ、健康な毎日が暮らせ、治療費もトータルで抑えることができるでしょう。口の中から全身を健康にして、素敵な毎日を送りましょう。

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