乳歯はいずれ抜けるのですから、そこまで虫歯に注意する必要はないですか? blog

2019.05.01

乳歯は、いずれ抜けるものですが、「虫歯に注意しなくて良い」というわけではありません。
乳歯の虫歯は、子供の口腔機能の発達や、後に生えてくる永久歯にも、悪影響を与えます。
乳歯のうちから、虫歯にしないように注意することが大切なのです。
今回は、乳歯の虫歯によって起こる悪影響について解説した後、乳歯の虫歯の特徴・乳歯の虫歯予防のポイントについて、解説します。

乳歯の虫歯によって起こる悪影響

乳歯はいずれ永久歯に生え変わりますが、虫歯にして良いわけではありません。乳歯の虫歯を放置すると、子供の歯とお口の健康な発育を妨げます。
具体的に起こる悪影響は次のとおりです。
・乳歯の下にある永久歯の質が悪くなる
・永久歯の歯並びが悪くなる
・正常な咀嚼運動の発達を妨げる
・正しい発音を妨げる
それぞれについて、詳しく解説します。

乳歯の下にある永久歯の質が悪くなる

虫歯が進行して、乳歯の根の先に方まで広がってしまうと、乳歯の下で生える準備をしている永久歯の質が悪くなります。
変色を起こす事や、歯が脆くなり虫歯になりやすい質になる事があります。

永久歯の歯並びが悪くなる

乳歯は、永久歯を正しい位置に導く役割があります。乳歯の虫歯が大きくなってしまい、隙間が大きくなってしまった場合や、抜かざるを得なくなってしまった場合、乳歯から永久歯の交換がうまくいかない事があります。その結果、永久歯の歯並びが悪くなってしまう事があるのです。

正常な咀嚼運動の発達を妨げる

「食べ物を噛み切り・噛み砕く動きである」咀嚼運動の習得は、子供の発達にとって、とても重要です。虫歯になると、歯がうまく噛み合わず、正常な咀嚼運動の習得に悪影響が出ます。
正常な咀嚼運動を身につける事で、栄養素の吸収効率が良くなります。また、顎が発達し、顔の形が整います。

正しい発音を妨げる

歯の存在は、発音にも影響します。乳歯の時期は、正しい発音を身につけていく大切な時期でもあります。特に「サ行」や「タ行」は前歯が無いと発音がしにくくなります。乳歯の虫歯を放置してしまい、歯に隙間ができたり、歯を抜かざるをえなくなってしまうと、正しい発音の習得の妨げになります。

このように、乳歯の虫歯は、子供の歯やお口の健康な発育に悪影響があります。
乳歯をできるだけ虫歯にしないようにしていく事が大切なのです。

乳歯の虫歯の特徴

乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯より進行が早く、重症化しやすいので注意が必要です。
乳歯の虫歯には次の5つの特徴があります。
・永久歯よりも虫歯になりやすい
・虫歯の進行が早い
・虫歯が歯の神経の到達しやすい
・虫歯が広範囲に広がりやすい
・痛みを感じにくい

乳歯は、永久歯と比べて柔らかいため、虫歯になりやすく、進行が早いという特徴があります。また、乳歯は、エナメル質と象牙質が薄いため、あっという間に虫歯が神経にまで到達してしまいます。痛覚がまだ発達していないので、痛みを感じにくい場合もあります。虫歯を早めに発見し、できるだけ早く治療をする事が大切です。

乳歯の虫歯予防方法

では、乳歯を虫歯から守るためには、どのようにしたら良いのでしょうか。
虫歯予防の基本は、自宅で行う「ホームケア」と歯科医院で行う「プロケア」です。いくら歯科医院にきちんと通っていても、毎日の自宅でのケアを怠っていては意味がありません。両方を行う事が大切です。

ホームケア

ホームケアの基本は、毎日の歯磨きです。乳歯の時期は、まだ本人だけでは上手に磨くことができません。必ず、毎日保護者が仕上げ磨きを行うようにしましょう。
また、乳歯から永久歯の生え替わり時期は、特に歯磨きが難しくなります。ちょうど小学生の時期になるため、「もう自分でできるだろう」と思いがちですが、必ず歯磨きのチェックをしてあげるようにしてください。

プロケア

ホームケアだけで足りない部分は、歯科医院で行うプロケアで補います。
乳歯の虫歯は、痛みを感じにくく、気がつかないまま急速に進行してしまう事があります
定期検診を必ず受けるようにしましょう。受診頻度の目安は3か月に1回程度です。
定期検診と合わせて、歯の質を強くする効果がある「フッ素塗布」や、奥歯の溝を薄く樹脂で埋めて汚れがたまりにくくする「シーラント」を受けるのもおすすめです。

まとめ

乳歯はいずれ抜けるからといって虫歯にして良いわけではありません。
最後に、乳歯の虫歯によって起こる悪影響・乳歯の虫歯の特徴・乳歯の虫歯予防方法についてまとめたいと思います。

<乳歯の虫歯によって起こる悪影響>
・乳歯の下にある永久歯の質が悪くなる
・永久歯の歯並びが悪くなる
・正常な咀嚼運動の発達を妨げる
・正しい発音を妨げる

<乳歯の虫歯の特徴>
・永久歯よりも虫歯になりやすい
・虫歯の進行が早い
・虫歯が歯の神経の到達しやすい
・虫歯が広範囲に広がりやすい
・痛みを感じにくい

<乳歯の虫歯予防のポイント>
・ホームケア:毎日の自宅での歯磨き、仕上げ磨き
・プロケア:定期検診、フッ素塗布、シーラント