むし歯になってしまう口の中の変化とは blog

2019.05.15

こんにちは。蒲田駅前の菊地歯科医院です。

当院には、毎日のように「むし歯の治療」に患者様が来院されます。歯科医師としては、症状が起こる前に予防で健康を守りたいと強く願っておりますが…

TVや多くのメディアが「予防歯科」について情報発信していますが、むし歯は防げる病気であること、そしてそもそもむし歯って、どのようにして起こってしまうか、口の中でどんな変化があってむし歯になるのか皆さんはご存知でしょうか?

食べた後に歯みがきしていれば十分?磨いたつもりで食べかすが残っている?などケアが不足しがちになってしまうことも良くお聞きすることです。「どうやったらむし歯にならないのだ」を知ってケアするのと、がむしゃらに歯みがきするのとでは、結果に天と地ほどの差があるのです。

では、むし歯になってしまう口の中では、どんなことが起こっているのでしょうか?そのメカニズムを知って、毎日のケアに活用してください。

歯の再石灰化とは

皆さん、「再石灰化」という言葉を聞いたことありますね?コマーシャルや薬局などで、よく目にしたり耳に入ってくるアレです。「再」ということは、に注目してみてください。つまり、「石灰」が再び歯に戻る自然治癒のことが再石灰化なのです。

ということは、歯の「石灰」成分が溶け出しているということです。これを歯科の専門用語で「脱灰(だっかい)」と呼ぶ症状です。

食事をすると「脱灰」し、歯みがきやケアすることで再石灰化が促進されるサイクルです。毎日、毎食、そう「飲食するごと」にこの繰り返しなのです。

口の中には無数の、そして皆さんの想像以上の菌が活動しています。脱灰は、食べカスをエサにしが菌が、活動を活発化する過程で毒素を出しその毒素によって口の中が酸性に偏ることで、歯の成分であるカルシウムとリンが溶け出す症状を言います。

そのため、菌が活動する原因となる食べカスを取り除くことで人間の自然治癒力によって、酸性が解消し再石灰化が進みます。

でもここで大きな注意があります!

脱灰している時間が長かったり、再石灰化に必要な時間が足りなかったりするとこの自然治癒のバランスを崩してしまい、脱灰が進行しむし歯になります。
※要は「口の中が汚れている時間が多い」「歯みがきしてからすぐ食べる」などです。

脱灰こそ常に口の中で起こっており、これ自体を防ぐことはできませんが他の歯に比べ一部分だけ白く変色しているところが「脱灰」している部分です。

これが再石灰化されず進行してしまうと、黒い点のような「むし歯」になります。むし歯まで進行してしまうと、再石灰化では自然治癒することはなく進行を食い止めるか、深くなってしまったら削って治すことになります。

まとめ

簡単におさらいしますね。

口の中の菌が「食べカス」をエサにして毒素を出しその毒素により口の中が酸性となり、歯の成分が溶け出してしまう。でも、歯みがきなどで口の中をキレイにすることで、自然治癒にて酸性が解消され再石灰化が進み溶け出した成分が戻る。でも、このサイクルが崩れたり、脱灰の時間が多くなると再石灰化が追い付かなくなり、「むし歯」へと進んでいってしまう。ということです。

では、歯みがきしてキレイになれば、再石灰化でむし歯にならないよね?と思ってしまいますよね。残念ながら、むし歯になってしまうメカニズムはもっと奥が深いのです…

口の中で起こっている脱灰と再石灰化のサイクルは皆さん同じなのですが、個人差のある「口腔内の菌の数」が、歯みがきとの関係性に大きく影響しています。また、歯みがきにもそれぞれ個人ごとにクセがあり、いつも同じ磨き残しがあるために「なんで歯みがきしているのにむし歯になるの…」となるのです。

次回はこのあたりも詳しくお伝えしていきます!