痛くもないのに、歯医者さんで「虫歯がある」と言われました。治療の必要はあるのですか? blog
2018.01.05
痛みがないと、「本当に治療をする必要があるの?」と心配になりますね。今回は、痛みがなくても虫歯があるのか、治療の必要があるのかについて、解説していきたいと思います。
痛みがなくても治療の必要があります
結論から言うと、痛みがなくても治療の必要がある場合があります。「虫歯がある」と言われたのでしたら、虫歯は時間の経過と共に進行していきますから、早めに治療をする必要があります。
“痛みがない”というのは、まだ初期段階の虫歯である可能性が高くなります。「虫歯」というと「痛み」を連想する場合が多いですが、初期段階の虫歯はまだ痛みがありません。この段階で治療をする事で、簡単な治療で済ませる事ができ、患者さんにとっても負担は軽くなります。本来は、この段階で虫歯に気がつき、早めに治療をする事が望ましいのです。
虫歯の進行
虫歯はどのように進行していくのか、痛みの現れ方と合わせて解説していきたいと思います。
(1)CO(シーオー)
初期虫歯といわれる状態で、まだ穴は空いていません。まだ痛みはありません。歯の表面のエナメル質が溶け始めており、表面が白濁したり、黄色っぽくなります。穴が空いていないので、再石灰化により修復される可能性もあります。治療をする必要はありませんが、治療が必要な段階に進行しないように、予防をする事が大切です。
(2)C1
初期段階の虫歯です。エナメル質に穴が空いた状態です。まだ痛みはありませんが、治療が必要です。冷たいものを飲んだ時にしみる事もあります。今回、歯医者さんで「虫歯がある」と言われたのは、この状態である可能性が高いです。自覚症状がほとんどないので、虫歯に気がつかない事が多いですが、この段階で治療をする事で、簡単な治療で済ませる事ができ、結果的に歯の寿命を延ばす事にもなります。
(3)C2
エナメル質の下にある象牙質まで虫歯が進行した状態です。象牙質は、神経に刺激を伝えるので、冷たいものがしみたり、温かいものを食べた時に痛む事があります。虫歯部分を削り、修復物を入れる治療をします。虫歯がこれ以上進行すると、神経にまで達してしまうので、早めの治療が大切です。
(4)C3
虫歯が、歯の神経にまで達した状態です。ズキズキとした強い痛みを感じるようになります。こうなると、慌てて歯医者に駆け込む人も多いです。この状態になると神経を取る治療をしなくてはなりません。神経を取ってしまうと、歯は栄養を断たれて脆くなります。歯の寿命が短くなってしまうので、できるだけ虫歯が神経に達する前に治療をする事が大切です。
(5)C4
歯の大部分が溶かされ、根だけになった状態です。神経は完全に死んでしまい痛みは無くなります。残念ながら歯を残せない事もあります。痛みが無いからと言って放置してくと、歯の根の先に膿が溜まり、強い痛みが出る事があります。さらに酷い場合には、顎の骨に感染を起こし、入院が必要な状態になる事もあります。
早期治療のメリット
虫歯の進行について解説していきましたが、痛みのない初期段階の虫歯のうちに治療をする事が望ましいと言えます。虫歯の早期治療のメリットは次のとおりです。
(1)通院回数が少なく簡単な治療で済む
まだ痛みのでていない初期段階の虫歯であれば、虫歯部分を削り取り、歯科用レジンを充填する治療で済む場合が多いです。1回の通院で完了する事ができます。少し進行すると、虫歯部分を削った後、型を取り、詰め物をする治療になります。詰め物は、保険診療の場合は金属の詰め物になるので、審美的に美しくありません。白い詰め物は自費になります。
(2)治療費を抑えられる
1回の通院で完了する簡単な充填治療であれば、2000〜3000円で治療を完了する事ができます。目安として、象牙質まで進行した虫歯の場合は2000円〜10000円程度、神経を抜く治療をする場合は7000円〜20000円程度です。
(3)歯の寿命が長くなる
一度治療をした歯は、そうでない歯に比べて虫歯になりやすくなります。自分の歯と人工物の境目から、二次的に虫歯を作りやすくなるのです。二次虫歯になると、再び削って人工物を入れる治療をしなくてはならず、何度も繰り返していると自分の歯がほとんど残らなくなってしまいます。歯の寿命を長くするためには、できるだけ自分の歯を削らない事が大切です。初期段階で治療をすれば、それだけ歯を削る量が少なくて済みます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。痛みがなくても、虫歯の治療が必要である理由がわかりましたでしょうか。“痛みがない”初期段階の虫歯のうちに治療をする事で、簡単な治療で済ませる事ができ、歯の寿命を延ばす事につながります。通院回数も少なく済み、治療費も抑えられます。
早期治療をするためには、虫歯を早期発見する事が必要です。痛みがない段階の虫歯は、よほど目立つ位置の虫歯でない限り、自分で見つける事は困難です。定期検診を受ける事が大切です。