むし歯といえば、「歯が痛くなる」とイメージする人が多いと思いますが、
実際にはそうとは限らず、例えば発症したばかりのむし歯においては、あまり痛みを感じることはありません。
歯が痛くなるのは、むし歯が象牙質まで進行した場合であり、つまりむし歯は進行するのです。
だとすれば、ずっとむし歯を放置してしまえば、どうなってしまうのでしょうか。
そこで、ここではむし歯が酷くなると歯を失う可能性について解説していきます。
むし歯の怖さを知る、きっかけとなっていただけると幸いです。
むし歯が末期段階まで進行すれば、確実に歯を失うことになります。
むし歯の場合、歯周病のように歯がポロリと抜け落ちることはないですが、
むし歯菌の出す酸によって溶かされた歯は、末期段階になるとボロボロに溶かされてしまっています。
この状態だと歯があるかどうかも確認できず、歯は完全に機能を失ってしまうのです。
また、被せ物を立てることもできないため、こうなると抜歯するしかありません。
つまり、放置すれば歯はボロボロのままですし、治療しても抜歯が必要になるのです。
「末期段階のむし歯では抜歯が必要かもしれない」と解説すると、
もしかすると「どうせ歯を抜くなら、いっそ治療しなくてもいいのでは?」と、思う人もいるかもしれません。
しかしその考えは間違いで、なぜなら治療しない限り、むし歯菌は生き続けているからです。
歯を破壊したむし歯菌は、今度は血液に入り込み、血管を通じて全身へとまわります。
そして、脳や心臓にまわることで脳梗塞や心筋梗塞の要因になることもあり、
むし歯の放置による死亡例も報告されているのです。つまり、むし歯の放置は命にかかわる病気の要因になります。
むし歯で歯を失った場合は、人工歯で対処することになります。
もっとも、これは歯を失った場合全てにいえることですから、例えば歯周病で歯を失った場合も同様です。
人工歯の選択としては、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つになります。
ただ、入れ歯は天然歯に比べて噛む力が弱く、一方でインプラントは手術を必要とする上に費用が高額です。
また、ブリッジは健康な天然歯を削る必要があり、いずれの治療法も長所と同時に短所が目立ちます。
しかし、歯を失ってしまえば、これらの治療法で対処するしかありません。
一度でも進行したむし歯は、自然には治りません。
ちなみに、ほとんどの人は痛みをきっかけにむし歯に気づきますが、
むし歯で痛みを感じたということは、そのむし歯は既に進行しているということになります。
ですから、むし歯で歯が痛む人は治療しなければ、そのむし歯は確実に進行していき、
やがては神経が死んでしまい、最終的には歯を失ってしまうのです。
そのため、むし歯は絶対に治療しなければなりません。
そもそも、なぜむし歯を自覚しながらも放置する人がいるのでしょうか。
おそらくそれは治療を嫌うことが理由であり、「何度も通院するのが面倒」「治療が怖い」などの理由で、
むし歯を放置してしまうのです。しかしそれは、完全な逆効果だと思っておいてください。
なぜなら、むし歯の治療法は進行度によって大きく異なり、
進行したむし歯を治す時ほど、大きな治療が必要になり、時間もかかってしまうのです。
つまり、むし歯を放置することで、むしろ治療内容が辛くなり、通院の回数も増えてしまうことになります。
むし歯を予防するには、まず歯磨きの精度を高めることが必要です。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを使ってプラークの除去率を高めましょう。
さらに、糖の摂取を控えたり、間食を控えたりするなど、食生活の改善も必要です。
また、予防歯科の受診として、定期的に検診を受けることも大切です。
定期検診を受けておけば、むし歯の予防効果が高まるのはもちろんですし、
むし歯の有無を確認できるので、発症時も重症化する前の段階で治療が可能になります。
いかがでしたか?
最後に、むし歯と抜歯についてまとめます。
1. 末期段階になると歯を失う :治療不可で抜歯が必要になり、歯もボロボロになっていて機能を失っている
2. むし歯には歯を失う以上の怖さがある :放置し続けることで、脳梗塞や心筋梗塞の要因になる
3. 歯を失った後の治療法 :入れ歯・ブリッジ・インプラントで対処。それぞれ長所と短所がある
4. 進行したむし歯は自然には治らない :一度でもむし歯が進行した場合、そのむし歯は自然には治らない
5. 治療を嫌う人がむし歯を放置するのは逆効果 :進行したむし歯ほど、大きな治療が必要になる
6. むし歯を予防するには :デンタルフロスを使った歯磨き、食生活の改善、定期検診の受診
これらのことから、むし歯と抜歯についてまとめます。
むし歯は歯周病同様、歯を失う要因になる病気です。
放置すれば歯はボロボロに溶かされ、末期段階になると治療においても抜歯が必要ですし、
だからといって治療しなければ、機能を失った歯のまま生活しなければなりません。
何より、むし歯の放置は脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる病気を引き起こす要因になるのです。