糖とむし歯について blog
2021.02.15
こんにちは。蒲田の菊地歯科医院 管理栄養士の伊藤です。
今回は糖とむし歯の関係について、むし歯のリスクを下げる糖の摂り方と併せてお話します。
脱灰と再石灰化
まずはむし歯になる仕組みの部分からお話します。歯には細菌が付着しており、どんなに歯ブラシをしっかりしていても、お口の中の細菌を100%完全に落とすことは不可能と言われています。
これらの細菌の多くは、口にした糖質の一部を分解して酸を産生し、歯の表面を酸性にします。この糖質を分解し、酸を産生することを“発酵”といいます。歯の表面が酸性になると、歯の表面は溶けていきます。これを“脱灰”と言います。脱灰された状態がずっと続くと、その部分は崩壊し、むし歯になります。
しかし、お口の中の唾液には、糖質や酸を洗い流し、酸を中和しpHをもとに戻す力があります。
さらに、歯を作るのに必要なカルシウム等を含むことから、少し溶けてしまった歯の表面を修復することができます。これを歯の再石灰化といいます。1日3回食事をとって脱灰が起きても簡単にむし歯にならないのはそのためなのです。
発酵性糖質とは?
先程お話した“発酵”を起こす糖質のことを発酵性糖質といいます。
発酵性糖質を含む間食を頻繁にとり、酸性になる状態が短い間隔で繰り返されると再石灰化は脱灰に追い付けなくなり、歯が欠け始め、むし歯になるのです。
発酵性糖質とは、ブドウ糖・果糖・ショ糖・麦芽糖・乳糖などです。それぞれ多く含む食品は以下の通りです。
・ブドウ糖…ご飯、パン、小麦粉、はちみつ、いも類など
・果糖…果物など
・ショ糖…砂糖など
・麦芽糖…ご飯、イモ類など
・乳糖…牛乳など
つまり炭水化物に分類されるものは大体が発酵性糖質なのです。
通常、唾液の作用で再石灰化するので、明らかに摂りすぎていると思う方以外は1日3回の食事から発酵性糖質を減らすという意識はしなくてもよいでしょう。
発酵性糖質を含む間食の頻度をできるだけ減らし、間食をとる場合にはできるだけ発酵性糖質を含まない食品を選ぶことが、むし歯予防のために重要ですね。
間食におすすめな食品
普段から間食をとっている方やお子様が急に全くとらないようにするのは中々難しいと思います。まずは内容を変えたり、頻度を減らすことから始めてみましょう。
●発酵性のない糖質
エリスリトール、キシリトール、ステビアなどは発酵性のない糖質です。
聞き慣れないと思いますが、エリスリトールやステビアは砂糖の代わりの代替甘味料としてネットで販売されているので、活用して手作りのおやつを作るのも一つの手です。
また市販ではこういったものを活用したトクホマークのついた食品や、歯に信頼マークのついた食品もあります。
●そもそも糖質を含まない食品
脂質やタンパク質がメインで構成されている食品は糖質をあまり含まないことが多いです。例えば、チーズ(ヨーグルトは糖質が高いので注意!)、肉や魚、野菜などです。
間食=甘いものというイメージがあったり、甘いものが食べたいと思うので無理のない範囲で変えてみましょう♪♪
●3度の食事と一緒にとる方法
甘いものを食べる頻度を下げる方法として、3度の食事の時に一緒にとるというのもひとつの手です。
1940年代にスウェーデンで行われた実験では食事と共に砂糖を含むお菓子を与えた場合と、食事とは別で間食として与えた場合では後者の方がむし歯が増加したという結果が出ています。間食でとらないようにすることで糖質の摂取回数を少なくすることが出来、再石灰化の時間がちゃんと作られることに繋がります。
歯医者さんで「むし歯のリスクが高い」と言われたことがある方や、日常的にお菓子を食べる習慣があり、多くのむし歯の治療をしてきた方などは今一度、間食を見直してみてはいかがでしょうか。
いつまでも美味しくご飯を食べる為に、食べるという面からも歯の健康を守っていきましょう!!