エナメル質形成不全について blog

2021.01.27

こんにちは、蒲田の歯医者 菊地歯科医院歯科衛生士の影山です。

今回は当院で毎月発行しているニュースレターで取り上げました「エナメル質形成不全」についてこちらのブログでもご紹介しようと思います。

エナメル質形成不全とは歯の表面のエナメル質が生まれつきうまく作られず、変色や欠けがみられる状態のことを言います。乳歯にも永久歯にも見られ、その部分は歯の質が弱くなっています。

エナメル質形成不全の原因とは?

原因は大きく分けて2つあり、1つ目は「全身的な要因」です。母親の妊娠期に何らかの障害(母体の栄養障害、病気、内分泌異常、感染、代謝異常、特定薬物の継続投与、ホルモン異常、ビタミン不足など)で歯の形成、成長が一時的に阻害されることによりエナメル質形成不全が起こります。全身的な原因による場合は、1本だけではなく複数の歯に症状が出ることが多いです。また多くの場合、左右対称に現れるといわれています。

2つ目は「局所的な要因」です。乳歯の時に外傷を受けた場合、乳歯の虫歯が大きく長い間化膿状態であった場合、後に生えてくる永久歯に影響がでてエナメル質形成不全がみられることがあります。局所的な要因の場合は左右対称にみられることは少なく、1歯から2歯に限られます。

エナメル質形成不全は前歯(中切歯、側切歯)や6歳臼歯(第一大臼歯)によく発生しやすいといわれ、6歳臼歯の方が虫歯になりやすいといわれています。

10年ほど前は10人に1人はエナメル質形成不全と言われていましたが、日本小児歯科学会の最新調査では軽度のお子さんも含めると現在、小学1年生~2年生の約5人に1人はエナメル質形成不全といわれているそうです。

歯は、乳歯でも永久歯でも育つ時期が限られています。乳歯ならば4~5か月くらいでエナメル質が出来てきます。また永久歯は3歳までにはエナメル質が出来るのでここで何らかの問題が起きていると言われます。
つまり、妊娠期から出生後幼児期までのお子さんの育つ環境に問題が起きていると考えられます。

ビタミンDが大事!?

このエナメル質形成不全は世界中で起きているのですが、米国ではあまり増加していないそうなのです。何故かと言いますと、米国ではビタミンDの摂取に力を入れているそうなのです。ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進する、骨や歯の形成に欠かせない栄養素です。ビタミンDが欠乏する子供だと「くる病」、大人だと「骨軟化症」や「骨粗しょう症」など骨の成長や代謝が阻害されてしまう病気を引き起こします。

エナメル質形成不全もこのビタミンDの摂取不足も原因の1つと言われています。
お母さんのビタミンDが欠乏していることで、その母乳で育つお子さんも欠乏症になってしまうそうなのです。

ビタミンDを多く含む食事は魚やキノコに多く含まれています。また食べ物からとる以外に、皮膚が紫外線に当たることで体内でも合成されます。効率よく働く質の良いビタミンDを得ることが出来るのです。最近は美白ブームで顔だけではなく手足にも日焼け止めを塗る方が増えました。まだ仮説の状態ではあるそうなのですが食生活の改善と紫外線対策の見直しなどをしてみてもいいのかなと思います。乳歯は永久歯には生え変わりますが、永久歯は一生ものなので、ぜひ今妊娠期のお母さん、これからお母さんになる方は参考にしていただければと思います。