歯周病ってどのような病気ですか? blog

2023.07.14

「歯周病」という、病気をご存知でしょうか?
歯周病は国民病とも呼ばれ、公益財団法人8020推進財団「永久歯の抜歯原因調査」(2018)によると日本人が歯を失う原因の第1位といわれています。
この記事では、歯周病について詳しく解説していきます。

歯周病は細菌の感染により引き起こされる病気

歯周病は炎症性疾患で、プラーク(歯垢)に含まれる細菌の感染が原因で発生する病気です。歯と歯肉の境目には「歯肉溝」と呼ばれる部分があります。歯肉溝の清掃が正しく行われていないと、細菌が歯肉溝に停滞してしまいます。
細菌はネバネバした物質を作り出して、歯の表面に密着します。これをプラーク(歯垢)といい、うがいをした程度では落ちません。
やがて細菌は歯肉に感染し、炎症が起きます。
細菌の感染により歯茎の内部で炎症が起きている状態が、歯周病です。

歯周病になりやすい生活習慣

以下のような生活習慣がある方は歯周病になりやすく、進行も早いといわれています。

  • 歯磨きが不十分である
  • 喫煙をしている
  • 糖尿病である
  • ストレスを抱えている
  • 食生活が不規則である
  • 歯ぎしりをしている

このような方は、自覚のないままに歯周病が進行することがあります。上記に当てはまる生活習慣がある場合は、定期的に歯科医院に相談するとよいでしょう。

どのように歯周病は進行していきますか?

歯周病は、歯肉炎から軽度歯周炎、中等度歯周炎、最後に重度歯周炎というように段階的に進行していきます。それぞれの主な症状や治療方法をみていきましょう。

歯肉炎

歯肉炎は、歯周病の初期段階です。主な症状は、歯茎が赤く腫れる、歯磨きをする度に痛むなどがあります。軽度の場合は、ほぼ自覚症状はありません。

治療方法は、歯石を専用の機械や器具でスケーリング(歯石取り)し、歯磨き指導をする簡単な内容です。歯肉炎の段階で適切な治療をすると、歯周病の完治も目指せます。

軽度歯周炎

歯肉炎を適切に処置しないと、軽度歯周炎に進行します。

軽度歯周炎になると歯茎と歯の間が深くなり、溝(歯周ポケット)に歯周病菌が集まりやすい状態になります。骨が溶け始め、歯茎も次第に下がってきます。
その結果、歯ブラシの先にふれると歯がしみる知覚過敏に悩む人もいます。

軽度歯周炎の治療法は、歯肉炎の治療だけではありません。自宅でのセルフケアでは歯石を取り除くことができず、歯科医院で歯石を取るための専用器具を使って丁寧に歯石を取り除く必要があります。

軽度歯周炎であれば、短期間で、よい治療結果が期待できます。

中等度歯周炎

中等度歯周炎まで進行すると、骨の約半分は壊れています。中等度は溝(歯周ポケット)がさらに深くなり、歯肉で見えない部分にもプラーク(歯垢)が確認されることもあります。

この時期の主な症状は、口臭が気になる、歯がぐらつく、歯磨きをすると出血するなどです。

治療は、ブラッシングやスケーリング(歯石取り)など以外にも、「歯周組織再生療法」があります。
歯周組織再生療法とは、歯を支えている骨をはじめとする組織を回復する治療法のことです。

中等度歯周炎は、治療回数や治療時間が長くなります。歯科医院と治療計画を立て、適切に処置していきましょう。

重度歯周炎

重度歯周炎は、歯茎が大きく腫れ、痛みを感じる状態です。歯のまわりにあった骨は大半が破壊され、溝(歯周ポケット)も大きくなっています。食事をする際にも、歯のぐらつきがきになる、物が噛めないなど、生活に支障が出る方もいるでしょう。そのままにしていると、最終的に歯が自然に抜けてしまうこともあります。

重度歯周炎になると、歯周外科や抜歯が行われます。歯周外科では歯茎を切り、歯周ポケットを浅くする処置が行われる場合も少なくありません。さらにまわりの歯に悪影響を与えると判断されると、抜歯が実施されることがあります。

重度歯周炎になると治療が難しくなり、期間も長引きます。重度歯周炎になって後悔する前に、早めに歯科医院に相談するとよいでしょう。

歯周病の予防について

自分でできる歯周病予防は、歯磨きを丁寧に行うこと、生活習慣を見直すことなどがあげられます。丁寧な歯磨きをして、プラーク(歯垢)の発生を防ぎましょう。

間食をなるべく避け、甘い物を控えるなど、生活習慣を見直すと、歯周病予防につながります。

また定期的に歯科医院に通い、磨き残しや歯石を綺麗にしてもらうこともおすすめです。自覚症状がない段階から、歯周病に気がつくきっかけになるでしょう。

まとめ

今回は、歯周病について紹介しました。

歯周病は細菌が原因の病気であり、自覚症状が少ないまま進行していきます。気がついたら思ったよりも進行していたという場合が多く、進行が進むと、歯を失う恐れもあります。

予防や早い段階での治療が、歯の寿命に大きく影響します。定期的に歯科医院を訪れ、歯周病の予防治療をしていきましょう。