知覚過敏と虫歯はどう違いますか? blog

2021.09.15

歯に起こっている異常は症状から判断しづらいケースが多く、知覚過敏と虫歯の場合にも同様のことがいえます。

知覚過敏の場合、冷たいものを飲食すると歯がしみたり痛んだりしますが、

虫歯の場合もまた冷たいものを飲食すると同様の症状が起こります。


つまり、「冷たいものを飲食すると歯が痛む」というだけでは、

それが知覚過敏によるものか虫歯によるものかが分からないのです。

そもそも、知覚過敏と虫歯はどう違うのでしょうか。

 

エナメル質と象牙質

知覚過敏と虫歯の違いを知るために、まずはエナメル質と象牙質について理解しておきましょう。

エナメル質と象牙質はどちらも歯の組織ですが、特徴は全く異なります。

 

エナメル質

歯の表面を覆っている組織で、象牙質を保護する役割を担っています。

刺激に対して強く、衝撃や温度差によって痛みを感じることはありません。

 

象牙質

歯の中心的な組織で、神経が近くに位置することから刺激に対して敏感です。

もっとも、普段はエナメル質で覆われているため、象牙質が直接刺激を受けることはありません。


それぞれの違いにおいてポイントになるのは、「刺激に対する特徴」です。

エナメル質は刺激に対して強く、一方で象牙質は刺激に対して敏感であり、

この違いが知覚過敏と虫歯の違いを知る上で深く関わってきます。

 

知覚過敏で歯が痛むメカニズム

知覚過敏で歯が痛むのは、何らかの原因でエナメル質が失われることで象牙質が露出するためです。

象牙質が露出していることでさまざまな刺激を象牙質が直接受けるようになり、

そこで衝撃・冷たさなどの刺激を受けることで歯が一瞬ピシッとしみてしまいます。

ここで重要なのは、「エナメル質が失われた何らかの原因とは何か」という点です。

 

  • 歯ぎしりや食いしばりの癖による「歯と歯の摩擦」
  • 強く歯を磨きすぎたことでの「歯ブラシと歯の摩擦」
  • 事故や接触による「歯への物理的衝撃」

 
たとえば、エナメル質が失われる原因としてこのようなことが考えられます。

摩擦・衝撃によってエナメル質が傷つく、もしくは破損することによって象牙質が露出してしまい、

露出した象牙質が刺激を受けることで歯が痛み、この症状を知覚過敏と呼ぶのです。

 

虫歯で歯が痛むメカニズム

虫歯で歯が痛むケースとして、重症化した場合の神経の炎症が挙げられます。

この場合、刺激の有無に関係なくズキズキと激しく歯が痛むため、知覚過敏による痛みとは全く異なります。

ただし、虫歯が象牙質まで進行したことによる痛みは知覚過敏の痛みと同じです。

 
この場合、虫歯の原因菌が象牙質に到達したことで歯に穴があき、

患部のエナメル質が失われてしまうことで痛みを感じるようになります。

つまり、この場合の歯が痛むメカニズムは知覚過敏と全く同じということになるのです。

 
異なる点は「エナメル質が失われた原因」であり、

知覚過敏は「摩擦や衝撃など」、虫歯は「虫歯の進行」がそれぞれ原因となっています。

 

知覚過敏と虫歯の違い

上記までの解説から、知覚過敏と虫歯の違いが分かります。

それぞれの症状は「エナメル質が失われた原因」によって区別されています。

 

  • 虫歯の進行によってエナメル質が失われた場合:虫歯
  • 摩擦や衝撃によってエナメル質が失われた場合:知覚過敏

 
このように区別することができ、

これらは「歯の見た目」「痛みが続く期間」などからどちらの症状なのかが判断できます。

もっとも、確実に判断するためには歯科医院で診断を受けるべきでしょう。

 

知覚過敏と歯周病

知覚過敏の場合、一つの可能性として歯周病が原因となっていることが考えられます。

歯周病にかかると歯肉に炎症が起こり、進行することで歯肉退縮が起こって歯肉の高さが下がります。

そうすると歯根が露出するのですが、この歯根には元々エナメル質がありません。

 
そのため象牙質が剥き出しの状態になっており、歯根の部分が刺激を受けることで知覚過敏が起こってしまうのです。

この場合はもちろん歯周病の治療が必要であり、

歯周病がさらに進行することで最終的に歯が抜け落ちてしまいます。

 

まとめ

いかがでしたか?

最後に、知覚過敏と虫歯の違いについてまとめます。

 
1. エナメル質と象牙質 :エナメル質は刺激に対して強く、象牙質は刺激に対して敏感

2. 知覚過敏で歯が痛むメカニズム :摩擦や衝撃によってエナメル質が失われることによって起こる

3. 虫歯で歯が痛むメカニズム :虫歯の進行によって歯に穴があき、エナメル質が失われることによって起こる

4. 知覚過敏と虫歯の違い :「エナメル質が失われた原因」によって区別されている

5. 知覚過敏と歯周病 :歯周病の進行によって知覚過敏が起こるケースもある

 
これら5つのことから、知覚過敏と虫歯の違いについて分かります。

つまり、歯が痛む時には知覚過敏・虫歯・歯周病の3つの可能性があるということになり、

正確な診断、そしてこれらを治すためには歯科医院での受診が必要です。

とくに、虫歯や歯周病が原因の場合はさらに進行してしまう可能性があるため、

歯に一瞬でも痛みを感じた時には歯科医院に行って診察を受けるようにしましょう。