歯磨きは虫歯を予防するための基本ですが、それだけでは虫歯を予防しきれないことがあります。
実際、しっかり歯磨きしているのに何度も虫歯を繰り返している人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、歯磨きでは虫歯予防において不充分な理由を解説して、
虫歯を予防するために必要なことについてもお伝えしていきます。
大切な歯をいつまでも守っていくために、ぜひ覚えておいてくださいね。
歯磨きの目的は、虫歯の原因菌が含まれているプラークを除去することです。
仮に、歯磨きによって全てのプラークを除去できるのであれば、歯磨きだけでも虫歯は予防できるでしょう。
しかし、実際には次の理由から必ず磨き残しが発生します。
プラークは目で見ることができず、そのため鏡を見ながら歯磨きしても除去できたことを確認できません。
いわば見えない汚れを除去することに等しく、全てを綺麗に除去しきるのは難しいのです。
プラークが付着するのは歯の表面ですが、位置によっては磨くことができません。
とくに、歯並びが悪い人は凸凹して磨きにくく、歯ブラシが届かない箇所も多いでしょう。
歯磨きをすると、歯磨き粉のミントによって口の中がスッとした感覚になります。
そのため、雑に磨いてもミントの感覚や香りによって綺麗に磨いたつもりになってしまうのです。
1日3回の歯磨きをしても、その間の食生活次第では虫歯になってしまいます。
なぜなら、虫歯の要因は食生活にあるからで、それを改善しない限り虫歯を予防しきれないのです。
口の中では常に脱灰と再石灰化が繰り返されており、脱灰は食事中、再石灰化は食後に起こります。
当然、間食が多ければ脱灰の頻度が高くなり、再石灰化が追い付かなくなってしまいます。
こうして脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が優位になることで虫歯になってしまうのです。
いわゆるダラダラ食いの問題で、これは子どもに多く見られる傾向があります。
食事の時間が長ければ、それだけ長い時間脱灰が行われることになるため、
再石灰化が追い付かなくなってしまい、これもまた脱灰と再石灰化のバランスが崩れる要因です。
そもそも、虫歯になるのは虫歯の原因菌の出す酸によって歯が溶かされるためです。
そして、虫歯の原因菌のエネルギーとなるのが糖であり、
つまり糖の摂取が多い人は虫歯の原因菌の働きが活発になるため、虫歯になりやすいのです。
虫歯になると歯に穴があくイメージがありますが、それは進行した虫歯のケースです。
発症時はわずかな変色のみの症状であり、痛みを感じることもありません。
また、発症した箇所によっては変色を確認することすらできないでしょう。
さらに、虫歯には再発を意味する二次虫歯というケースがあり、
この場合は患部が詰め物で処置されていることから、やはり目で発症に気づくことはできません。
つまり、これらの虫歯には、「目で確認できずに痛みも感じない」という特徴があります。
そのため、いつの間にか発症している可能性も否定できず、
その上一度でもその虫歯が進行してしまえば歯磨きや再石灰化の力で治すことはできないのです。
歯磨きだけに頼ってしまえば、いつの間にか虫歯が発症して、いつの間にか進行してしまう可能性があるのです。
歯磨きでは虫歯を予防するには不充分な理由をまとめると、次のようになります。
そして、これらの理由から虫歯を予防するための方法が見えてきます。
虫歯を予防するためには、以下の3つのことを実践するのが効果的です。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを使うことでプラークの除去率が高まります。
また、プラークテスターを使ってプラークを染色するのも効果的で、
目に見えないプラークを目に見える状態にすることで、磨き残しを減らすことができます。
虫歯は、食生活における「間食」「ダラダラ食い」「糖の摂取」が要因になるため、
食生活を見直してこれらを改善することが虫歯の予防につながります。
定期検診を受診することで、自覚しづらい初期の虫歯を発見することができます。
また、詰め物を使用している人は詰め物の劣化状態を確認できるため、
二次虫歯の予防、さらには二次虫歯の発症も発見することができます。
いかがでしたか?
最後に、歯磨きだけで虫歯を予防するのが難しい理由についてまとめます。
1. 磨き残しが発生する :「プラークは目に見えない」「磨けない箇所がある」などが理由
2. 虫歯は食生活に要因がある :「間食が多い」「ダラダラと時間をかけて食べる」などが理由
3. 虫歯の発症は気づきにくい :「初期の虫歯は目で確認しづらく痛みもない」などが理由
4. 虫歯を予防するには :「歯磨きの精度を高める」「食生活を改善する」などが理由
これら4つのことから、歯磨きだけで虫歯を予防するのが難しい理由について分かります。
虫歯予防の基本は歯磨きですが、あくまで基本であり、
予防効果を高めるには食生活の改善や定期検診の受診が必要です。
とくに、子どもの場合は虫歯になりやすいため、親が充分注意する必要があるでしょう。