歯に良い栄養素について パート② blog

2020.12.16

こんにちは。蒲田の歯医者 菊地歯科医院管理栄養士の伊藤です。

今年度は今まで月に一回食育レシピとして歯に良い食材を使ったレシピを発信してきましたが、今回はそのまとめのようなものとして、結局歯に良い栄養素はどういうものなのかをご紹介していきたいと思います。前回パート1としてタンパク質、カルシウム、ビタミンDについてご紹介しました。今回はビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、マグネシウムについてご紹介していきます。

ビタミンA

ビタミンAは歯の表面のエナメル質の形成に必要な栄養素です。ビタミンAが欠乏した状態が続くとうまく歯の石灰化が進まないため、特に永久歯に生え変わる成長期には意識してとりたい栄養素です。抜粋して1日の推奨量を示すので参考にしてください。

1日の推奨量(μgRAE/日)

男性 女性
8~9歳 500 500
10~11歳 600 600
12~14歳 800 700
18~29歳 850 650
30~64歳 900 700

多く含む食品

・レバー類※かなり多く含まれ、食べる頻度や量が多いと過剰症のリスクもあるので注意

例…鶏レバー:10gで1400㎍

・にんじん…1/3本で240㎍

・くろまぐろ赤身(生)…50gで420㎍

ビタミンB群

ビタミンB2

お口の中の粘膜の細胞を再生する働きがあります。欠乏していると口内炎ができる原因にもなります。1日の推奨量は18~49歳の男性で1.6㎎、50~74歳だと1.5㎎、女性は18~74歳で1.2㎎です。さらに妊婦・授乳中の方は多めにとることが推奨されています。

《多く含む食品》すべて100gあたり

・鶏レバー…1.8㎎(ビタミンA過剰に注意)
・緑茶…1.4㎎
・紅茶…0.8㎎
・納豆…0.56㎎
・卵…0.43㎎
※海苔やアーモンドも豊富ですが推奨量程を摂るには100gも摂らないといけないので効率的ではありません。

ビタミンB6

体内でタンパク質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液を作ったりする働きに関係する栄養素です。よって皮膚や粘膜の健康維持につながります。1日の推奨量は18歳以上の男性で1.4㎎、女性で1.1㎎です。

《多く含む食品》すべて100gあたり

・牛レバー…0.89㎎
・ビンナガマグロ…0.94㎎(マグロ赤身はどの種も多い)
・かつお…0.76㎎
・鮭…0.64㎎
・鶏ささみ…0.62㎎

ビタミンC

体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンをつくるのに不可欠な栄養素です。皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。またビタミンD同様、カルシウムの吸収を助ける役割もあります。
1日の推奨量は12歳以上の男女で100㎎です。

《多く含む食品》すべて100gあたり

・緑茶…260㎎
・赤ピーマン…170㎎
・芽キャベツ…160㎎
・ブロッコリー…140㎎
・ピーマン(緑)…76㎎
・柿…70㎎
・キウイ…69㎎

※ビタミンCは水に溶出するので茹でる以外の調理法がおすすめです。

カリウム

カリウムイオンが知覚過敏を軽減する効果があるといわれています。しかしカリウムは通常の食事で1日の目安量よりも欠乏することはそんなにありません。比較的どの食品にもまんべんなく含まれていますが、特に野菜や果実、大豆製品に多く含まれています。

マグネシウム

カルシウムと同様、歯の形成に必要な栄養素です。長期にわたって不足すると骨粗鬆症の発症につながります。現代の日本人は不足気味の傾向にあるようです。1日の推奨量は、男性で18~29歳は340㎎、30~64歳で370㎎、65~74歳で350㎎、女性は18~29歳で270㎎、30~64歳で290㎎、65~74歳で280㎎です。

《多く含む食品》すべて100gあたり

・紅茶…210㎎
・緑茶…200㎎
※海藻類、種実類(ごまやナッツ)も多いですが100gで推奨量程なので沢山食べなければなりません。

以上が歯に良い栄養素についてのまとめです。

全ての栄養素を毎回意識して基準値に達するようにとるのはとても大変です。自身が不足していると感じる栄養素を意識してとったり、「口内炎ができやすい」「歯医者で酸蝕症といわれた」など口内に関する悩みに合わせて意識してとったり、できるところから無理なくしていきましょう。歯に良い栄養素を知ってお口の中の健康を保ち、いくつになってもおいしくご飯を食べたいですね。