身体に何らかの問題が起こっても、それが軽い病気なら自然に治るケースがあります。
例えば軽い風邪、疲労による頭痛、お腹が冷えたことによる腹痛…これらは一時的なものであり、
病院で治療を受けなくても安静に休んでいれば治ります。では、虫歯の場合はどうでしょうか。
虫歯もまた、歯磨きで歯を綺麗にしていれば自然に治るのでしょうか。
一切進行していない初期の虫歯なら、しっかりとプラークを除去できれば自然に治ります。
最も、この段階の状態は「虫歯」というより「虫歯になりたて」と表現した方が的確かもしれません。
段階としてはCO(シーオー)であり、歯科医院に行っても削らずに経過観察すべきと診断されるでしょう。
虫歯になりたてを意味するCOは、歯の再石灰化で治る可能性が高く、そのためこの段階での治療は不要です。
とは言え、ケアが不充分だと本格的な虫歯へと進行してしまいますし、
一度でも虫歯が進行してしまうとその虫歯は治療しない限り治りません。
多くの人は虫歯の進行度を痛みの程度で判断していますが、それは大きな間違いです。
確かに、虫歯が進行すれば痛みを感じるようになりますし、その虫歯が進行すれば痛みは増すでしょう。
しかし、虫歯の痛みは永久に感じ続けるわけではなく、ある時を境にして逆に全く感じなくなるのです。
それは神経が死んでしまった場合で、虫歯の進行によって神経が死んでしまうと痛みは感じなくなり、
ただそれでも虫歯は進行し続けてやがては歯をボロボロに溶かしてしまいます。
つまり、虫歯を放置して痛みがおさまるのは、その虫歯が治ったわけではありません。
虫歯になれば痛みを感じるようになり、また歯は溶かされてしまいます。
これらはいずれも虫歯の怖い特徴ですが、実は虫歯の本当の怖さはそれだけではなく、
結論から言えば命にかかわる病気を引き起こす危険性もあり、実際に死亡した事例も存在するほどです。
これは虫歯の原因菌が血液に入り込むのが原因で、
血液に入り込んだ虫歯の原因菌は血管を通じて全身へと回ります。
この時、虫歯の原因菌が脳や心臓に回ることで脳梗塞や心筋梗塞が誘発されるケースがあるのです。
虫歯治療の基本は患部を削ることですが、削る範囲は虫歯の進行度によって異なります。
虫歯が進行すればその分だけ削る範囲が広く、そして深くなり、
神経が死んでいる場合は残せないと判断された場合は根管治療が必要です。
また、重度段階まで進行した虫歯だと歯を残せない可能性があり、その場合は抜歯するしかありません。
歯を削った後は詰め物や被せ物で処置しますが、これらの材質は患者さんが選択することもでき、
虫歯の再発を予防したいのであればセラミックがおすすめです。ただし、セラミックは自由診療になります。
虫歯を予防するには毎日の歯磨きが基本となりますが、それだけで確実な予防はできません。
まず歯磨き自体に精度が求められ、ブラッシングだけでなくデンタルフロスを使った歯磨きをすべきですし、
歯科医院でブラッシング指導を受けて正しい歯磨きの方法も知っておきましょう。
さらに食生活を中心とした生活習慣の改善も必要で、
例えばダラダラ食いや糖の多量な摂取はいずれも虫歯になる危険性を高めます。
また、よく噛まずに食べると唾液の量が不充分になって細菌が停滞しやすくなってしまいます。
全ての人におすすめしたいのが、定期検診の受診です。
そもそも、痛みを感じないほどの初期の虫歯を自身で発見するのは難しく、
なぜなら大半の人は歯の痛みを感じることで虫歯を自覚するからです。
その点、定期検診を受けていれば定期的に歯の健康状態を確認できるため、
痛みを感じないほど初期の虫歯も確実に発見して治療できます。
また、何より定期検診を受けること自体、虫歯の予防効果を高められるのです。
いかがでしたか?
最後に、虫歯は自然に治るのかについてまとめます。
1. 進行前の虫歯なら自然に治る :虫歯になりたての状態なら、歯の再石灰化で治る可能性が高い
2. 虫歯を放置しても痛みがおさまる理由 :虫歯が治ったわけではなく、神経が死んだことが原因
3. 虫歯を放置することの怖さ :虫歯の原因菌が血液に入り込み、脳梗塞や心筋梗塞を誘発しかねない
4. 虫歯の治療方法 :基本は患部を削ることだが、進行度によって根管治療や抜歯が必要
5. 虫歯の予防方法 :精度の高い歯磨き、食生活を中心とした生活習慣の改善など
6. 定期検診のすすめ :初期の虫歯を発見でき、虫歯の予防効果も高まる
これら6つのことから、虫歯は自然に治るのかについて分かります。
まとめると、虫歯が自然に治るケースは進行前の虫歯のみであり、いわゆる虫歯になりたての状態です。
一方、一度でも進行した虫歯は治療しない限り治ることはなく、
放置すれば虫歯はどんどん進行してやがては思わぬ症状を引き起こす危険性もあります。