歯が痛くないのは口の中が健康な証拠と言えますか? blog

2020.06.25

痛みとは辛くて苦しいものですが、同時にそれは大切な自覚症状でもあります。
考えてみると、私達は痛みを感じることで健康状態の異常に気づき、
お腹が痛ければお腹の病気に、頭が痛ければ頭の病気に気づきます。

また、口の中の健康状態においても例外ではなく、歯に痛みを感じることで虫歯に気づくでしょう。
では、痛みを感じなければ身体は健康と言えるのでしょうか。
歯に痛みを感じなければ、それは口の中が健康な証拠になるのでしょうか。

虫歯の可能性

まず虫歯ですが、実は歯が痛くなくても虫歯になっていることがあり、
例えば次のケースの虫歯がこれに該当します。

初期の虫歯

いわゆる虫歯になりたての状態で、この状態ではまだ歯に穴があいておらず、痛みも感じません。
そもそも、虫歯で歯が痛くなるのは虫歯が象牙質まで進行したことによる知覚過敏が原因。
歯の表面だけで虫歯になっている初期段階では、一切痛みは感じないのです。

神経を失った歯の虫歯

神経を失えば感覚がなくなるため、虫歯による痛みは一切感じません。
神経を失った歯の虫歯としては2つのケースが考えられ、1つは虫歯が進行して神経を失った状態、
もう1つは神経を失った歯を虫歯治療した後、その歯が再度虫歯になった状態(二次虫歯)です。

…このようなケースの虫歯ではいずれも痛みはなく、
そのため歯が痛くなくても虫歯になっている可能性は否定できません。

歯周病の可能性

上記の説明から、歯が痛くなくても虫歯になっている可能性があることが分かりますね。
また、虫歯以外にも歯周病になっている可能性もあります。

歯周病は静かなる病気

そもそも歯周病は「静かなる病気」と呼ばれるほどで、痛みを感じないのはむしろ自然です。
痛みを感じない点で虫歯に比べて軽い病気と思われがちですが、
痛みを感じないことこそが歯周病の怖さであり、なぜならそのせいで発見が遅れて重症化しやすいのです。

歯周病の自覚症状

痛みを感じない点で発見…つまり自覚が難しい歯周病ですが、自覚症状が全くないわけではありません。
例えば初期段階では「口臭」、「歯肉からの出血」、「歯肉の変色」、「歯肉の腫れ」などの自覚症状が起こり、
進行した場合は「歯肉の高さが下がる」、「歯が動く」など目立つ自覚症状も起こります。

…歯周病になると最終的に歯が抜けるため、その症状から高齢の人に限った病気に思われがちです。
しかし、若くても歯周病になる可能性はあり、歯肉炎に至っては子供でも発症します。

子供の虫歯に注意

子供が「歯が痛い」と訴えてくると、親は子供の虫歯を予感するでしょう。
しかし、子供がまだ乳歯の場合は痛みを感じなくても虫歯の可能性があります。

乳歯の虫歯は痛みを感じにくい

必ずしも痛みがないとは言い切れませんが、乳歯の虫歯は永久歯に比べて痛みを感じにくく、
実際に歯科検診を受けて初めて虫歯が発覚するケースは稀ではありません。
つまり子供の場合、「歯が痛い」と訴えなくても虫歯になっている可能性は充分あるのです。

乳歯が虫歯になると永久歯も虫歯になりやすい

乳歯はいずれ抜けるため、中には乳歯の虫歯を気にしない人がいます。
しかしその考えは間違いで、乳歯が虫歯になることで後に生える永久歯にも影響。
乳歯の虫歯が歯の根まで進行すれば、その近くに存在永久歯も虫歯の原因菌にまみれてしまうのです。

…乳歯はやわらかく、また子供も歯磨きの技術が未熟なため、乳歯は虫歯になりやすい傾向があります。
その意味では、子供の乳歯は永久歯以上に虫歯に注意しなければなりません。

定期検診のすすめ

歯の痛みの有無は口の中の健康状態を知る正確な根拠にはならず、
そのため定期的に口の中の健康状態を確認してもらうことをおすすめします。

予防治療を受けられる

定期検診では口の中の健康状態を確認するだけでなく、虫歯や歯周病を予防するための治療を受けられます。
実際、歯磨きだけで虫歯や歯周病を予防するのは難しく、
定期検診での歯のクリーニング、ブラッシング指導などを受けると予防効果が高まります。

虫歯や歯周病を早期発見できる

虫歯や歯周病も、早期発見して治療すれば大きな事態にはならず、
早期発見と早期治療の重要性はどんな病気でも言えることですね。
その点、定期検診を受診すれば虫歯や歯周病の早期発見が可能です。

…定期検診を受診すれば虫歯や歯周病を予防しやすくなり、さらに発症時も重症化を防げます。
理想は3ヶ月に1回、それが難しいなら半年に1回ほどの頻度で受診すると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯の痛みの有無と口の中の健康状態についてまとめます。

1.虫歯の可能性:歯に痛みがなくても初期の虫歯、神経を失った歯の虫歯の可能性がある
2.歯周病の可能性:歯に痛みがなくても歯周病の可能性がある
3.子供の虫歯に注意:乳歯は痛みを感じにくく、また重症化すると永久歯に影響する
4.定期検診のすすめ:定期検診の受診は、虫歯や歯周病の予防と早期発見につながる

これら4つのことから、歯の痛みの有無と口の中の健康状態について分かります。
歯が痛くなければ、確かに虫歯の可能性は低いかもしれません。
しかしそれは100%ではなく、歯が痛くなくても虫歯になっているケースも考えられます。
また歯周病はそもそも痛みを感じず、歯の痛みの有無は口の中の健康状態を示す正確な根拠にはなりません。