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70代女性 歯根が折れた歯を抜いて金属バネを使用しない部分入れ歯で補った症例Case

2025.12.18

治療前

治療後

治療中/その他

第1小臼歯に歯根破折を認めました。

年齢・性別 60代女性
相談内容 「被せ物が装着されている左上奥歯で固いものを噛むと痛む」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 拝見したところ、左上の歯(第2小臼歯)が欠損しており、この部分を補うために、両隣の歯を土台として橋を渡すように連結した被せ物「ブリッジ」が装着されていました。

レントゲン撮影をして詳しく検査した結果、ブリッジを支えている左上の歯(第1小臼歯)は、歯根が割れていることが判明しました。
このまま放置すると、周囲の骨や歯茎に炎症が広がるおそれがあります。また、歯の状態から温存は困難だと判断しました。

以上のことから、歯根が折れた歯を抜いたうえで、欠損部位を補う治療が必要だと診断しました。
行ったご提案・治療内容 抜歯後の治療方法として、以下の3つを提案しました。

①ブリッジ
メリット:固定式なので、取り外して管理をする手間がない。装着時の違和感が少ない
デメリット:ブリッジの土台にする健康な歯を削る必要がある。土台の歯に負担がかかる

②インプラント(顎の骨に人工歯根を埋入し、その上に人工歯を装着する治療方法)
メリット:ほかの歯を削らずに治療ができる。天然歯に近い噛み心地が期待できる
デメリット:外科処置が必要なので体への負担が大きく、治療期間も長くなる

③部分入れ歯
メリット:ほかの歯を削らずに装着できる。体への負担が少なく、比較的短時間で治療ができる
デメリット:取り外し式なので、着脱や清掃の手間がある

患者様は30年以上当院に通院されており、インプラント治療を行った経験があります。
ただ、最近転倒による骨折を経験されており、体力面の不安から外科処置を伴うインプラント治療は避けたいとのことでした。
併せて「健康な歯を削りたくない。また、笑ったときに金具が見えるのも避けたい」と希望されています。

以上のことから、患者様は③の部分入れ歯による治療を選択されました。

今回は審美性を考慮して、金属のバネではなく樹脂の留め具で固定する部分入れ歯「ノンクラスプデンチャー」を提案し、同意いただきました。
ノンクラスプデンチャーの留め具は歯茎に近い色をしているため、目立ちにくいのが特徴です。

また、体調が回復した時点でインプラント治療へ移行する可能性もふまえ、ノンクラスプデンチャーは手術部位を圧迫しにくく、調整がしやすい設計で作製することになりました。

まず、歯根が折れた左上の第1小臼歯を抜きます。
3ヶ月間の経過観察後、傷が治癒したことが確認できたため、ノンクラスプデンチャーを作製するための型取りを行いました。

また、噛み合わせの記録を取ったり、周囲の歯に馴染む色調の人工歯を選んだりなど、患者様によりぴったりと合う入れ歯に仕上げています。

約3週間後、完成した入れ歯を装着し、使用感や見た目に問題がないことを確認して、治療を終了しました。
治療期間 抜歯からの期間は3ヶ月
おおよその費用 約130,000円
治療のリスク ・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります
・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・着脱式のため、食後の清掃が必要です
・最初のうちは異物感があり、慣れるまで時間がかかる場合があります
・慣れるまでは、入れ歯の裏側の粘膜に傷ができる場合があります