70代女性 痛みのある奥歯を抜歯したあとインプラント治療で歯を補った症例Case

2025.09.03

治療前

治療後

年齢・性別 70代女性
相談内容 「過去に抜歯した歯の手前の歯が食事のときに痛くて噛めない」とご相談いただきました。
患者様は、10年ほど前に右上の1番奥の歯(第2大臼歯)を抜歯しています。
カウンセリング・診断結果 痛みのある右上奥歯(第1大臼歯)について、レントゲン画像で確認した結果、根尖性歯周炎であることがわかりました。

根尖性歯周炎は、細菌感染によって歯根の周りに炎症が起こり膿が溜まる病気で、改善には細菌感染した歯の内部の組織を取り除く感染根管治療が必要です。
しかし今回のケースでは、症状が進行しており感染根管治療を行っても十分な効果が得られない可能性が高く、抜歯が必要となる場合があります。

患者様は「家族が入れ歯で嫌な思いをしたことがあるので、もし抜歯となった場合でも入れ歯は絶対に入れたくない」とのことです。
行ったご提案・治療内容 歯の温存が難しいことをご理解いただいたうえで、まずは感染根管治療を施しましたが最終的に症状の改善が見られなかったため、抜歯に同意いただきました。

また抜歯後に歯を補う方法として「入れ歯は避けたい」とのご希望があったため、人工歯根をあごの骨に埋めてその上に人工歯を取り付けるインプラント治療を提案し、こちらも同意いただきました。

インプラント治療は外科処置を伴い治療期間も比較的長くなりますが、天然歯のような自然な見た目と噛み心地が期待できます。

インプラントの埋入方法には、抜歯と同時にインプラントを埋める方法と、抜歯とインプラント埋入を2回に分けて行う方法があります。
今回は抜歯予定の歯の根の周りに炎症があり、抜歯と同時にインプラントを埋める方法ではインプラントが十分に定着しない可能性があるため、抜歯後にあごの骨の治癒を約6ヶ月待ってからインプラントを埋入することをお伝えしました。

さらにもともと欠損していた右上の1番奥の歯についても、インプラントで補うことでしっかりと噛めるようになる旨をお伝えし、合計2本のインプラントを埋入する計画となりました。

【治療手順】
①局所麻酔を行い、炎症のある右上奥歯を抜歯する。
②根の周りの感染した組織を丁寧に除去し、あごの骨の治癒を促すためコラーゲン製の医療材料であるテルプラグ(GC社製)を入れて傷口を縫い合わせる。
③抜歯から約6ヶ月後、骨の治癒が順調に進んでいることを確認してからインプラント埋入手術を実施する。インプラントには、高い安全性と耐久性、骨との結合に優れたストローマン社製インプラント(BLX4.0×10㎜)を2本使用する。
④インプラントがあごの骨にしっかりと定着していることを確認し、術後3ヶ月で人工歯を作製するための型取りを行う。型取りには、お口の中や歯並びの状態をデータ化できる専用カメラの口腔内スキャナーTrios(3shape社製)を用いる。
⑤型取りから2週間後に人工歯を装着する。

人骨歯を装着した直後、患者様はお口の中の歯が増えたことによる違和感を気にされていましたが、次第に慣れ、問題なく食事ができています。

治療後は毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスでインプラントを管理することが大切である旨を説明し、現在は3ヶ月に1度のメンテナンスで通院いただいています。
治療期間 抜歯からインプラント治療終了まで約10ヶ月
おおよその費用 約909,000円
治療のリスク ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・自費診療(保険適用外治療)です