50代男性 痛みのある奥歯を抜歯してインプラント治療を行い症状を改善させた症例Case
2025.06.27
治療前
治療後
年齢・性別 | 50代男性 |
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相談内容 | 「左下奥歯のまわりの歯茎が腫れて痛い」とご相談いただきました。 |
カウンセリング・診断結果 | 歯茎の腫れの原因を確認するため、レントゲンを撮影して詳しく確認したところ、左下の奥歯(第2大臼歯)に、歯根の先に膿が溜まる「根尖性(こんせんせい)歯周炎」が認められました。 この歯は20〜30年前に、細菌に感染した神経を取り除き、洗浄・消毒をして薬を詰める根管治療を行っており、被せ物がされています。 しかし、何らかの理由で細菌感染を起こし、根尖性歯周炎が生じたと考えられました。 このまま放置すると、根尖病巣が広がり歯を支える骨を溶かしたり、強い痛みが出たり、さらに歯茎が腫れるおそれがあります。最終的には歯の温存が困難になる可能性もあるため、早急な治療が必要だと診断しました。 |
行ったご提案・治療内容 | 現在の歯の状態から判断すると、根管治療をやり直しても治癒する確率は60%程度と考えられましたが、まずは抜歯をせずに患者様の歯を残すことを優先して再根管治療を行うことを提案しました。 また、再根管治療を行っても改善が見られない場合は抜歯をしてから隙間を補うための補綴(ほてつ)治療が必要になり、以下の方法から選択していただくことを説明しました。 ・部分入れ歯 バネを手前の歯にかけて装着する、取り外し可能な人工の歯 メリット:治療期間が短く、費用も抑えられる デメリット:装着時の違和感が出やすく、噛み心地が劣ることがある ・延長ブリッジ 抜歯部位の手前の歯を削って土台にし、人工歯を奥に連結した被せ物 メリット:比較的短時間で噛めるようになる デメリット:土台となる歯は健康な部分を多く削る必要があり、装着後のブラッシングが難しい ・インプラント 顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物して噛む機能を回復させる メリット:周囲の歯に負担をかけず、天然歯に近い噛み心地が期待できる。自分の歯と同じように清掃することが可能 デメリット:入れ歯やブリッジと比較すると治療期間や費用がかかる 治療計画に同意いただいたうえで、以下の流れで治療を行いました。 ①再根管治療の実施 まず、元々装着されていた被せ物や土台を撤去し、根管治療を始めます。約4回の治療を重ね、炎症が落ち着いたことを確認して薬剤で根管を密閉しました。 その後は、仮歯を装着して経過観察をします。 ②経過観察と治療変更 治療直後から噛んだ時の痛みが若干見られましたが、自然に改善する可能性もあるため経過をみました。しかし約2週間後、歯茎に再び腫れが見られたため、患者様と相談のうえ抜歯を行い、インプラント治療へ方針を切り替えました。 ③左下奥歯を抜歯 炎症を最小限に抑えるため、事前に抗菌薬を投与してから抜歯を行います。 抜歯部分の穴には、治癒の促進と止血効果が期待できるテルプラグ(コラーゲン由来のスポンジ材)を挿入しました。 ④インプラント治療の実施 抜歯から6ヶ月後、レントゲンおよびCT撮影にて抜歯部位に十分な骨の形成が確認されたため、インプラント埋入手術を行います。 インプラントの表面の加工やネジの切れ込みなどによって、骨との早期結合が期待できるストローマン社製「BLX 4.0×8mm」のインプラントを使用しました。 ⑤被せ物の作製 埋入から2ヶ月後、口腔内スキャナー「Trios4(3shape社製)」を用いた光学印象を行い、精密な歯型のデータを基に被せ物を作製します。 同時に、インプラントと噛み合わせる上の歯が下に向かって飛び出していたため、噛み合わせを考慮して上の歯の金属の被せ物を取り外し、被せ物を作り直しました。 2週間後、完成した強度と審美性に優れた白いジルコニアクラウン(被せ物)を上下の奥に装着し、噛み合わせに問題がないことを確認して治療を終了しました。 |
治療期間 | 約10ヶ月 |
おおよその費用 | 約600,000円 |
治療のリスク | ・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります |