70代女性 審美性が損なわれていた前歯の被せ物を除去しジルコニアセラミクスの被せ物で修復した症例Case

2025.05.14

治療前

治療後

年齢・性別 70代女性
相談内容 「メンテナンスの際に、歯科衛生士さんに前歯の見た目について相談したところ、詰め物や被せ物の問題を指摘された。前歯の見た目を改善したい」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 拝見したところ、上前歯に装着している被せ物がうまく適合していませんでした。
また、被せ物と歯の間には隙間ができていて審美性が損なわれているだけでなく、隙間部分には虫歯が再発しており、このまま放置すると、虫歯がさらに進行するおそれがあります。

さらに、別の上前歯と下前歯4本には樹脂の詰め物であるレジン充填の処置も施されていましたが、経年劣化で変色していました。

以上のことから、上前歯と下前歯の被せ物と詰め物を新しく作り直す必要があると診断しました。
行ったご提案・治療内容 上前歯の被せ物に関しては、以下2つの治療方法を提案しました。

①保険診療の硬質レジン前装冠
メリット:保険診療のため費用を抑えられる。歯の前面を白くできる
デメリット:天然歯のような透明感を再現することは難しい。経年劣化しやすく、虫歯の再発リスクがある

②自費診療のジルコニアセラミクスによる被せ物
メリット:天然歯に近い自然な白さを再現できる。強度に優れており、金属に比べて変形しにくいので虫歯の再発リスクが低い
デメリット:自費診療のため、比較的高額になる

それぞれのメリットとデメリットについて丁寧に説明したところ、患者様は虫歯の再発リスクや劣化のしにくさなどを考慮して、②のジルコニアセラミクスによる治療を希望されました。

経年劣化したレジン充填の詰め物に関しては、再度レジン充填で治療をするのか、自費診療のジルコニアセラミクスで治療をするのかなどをじっくりと検討したいとのことだったため、この時点では治療方法を決定していません。

まず、上前歯の被せ物を除去し、再発した虫歯をしっかりと取り除きます。
この歯は以前神経の処置をしていたため、念のためにレントゲン撮影をしたところ、歯根の再治療は不要だと判断しました。
ただ、被せ物の土台となっているコアの部分は、セメントが経年劣化をしていることを考慮し、型をとって土台を作る間接法ファイバーコアを用いて再治療を行っています。ファイバーコアは歯に似た色味をしているため、被せ物を装着した際に透けたとしても不自然さはありません。

土台を作ったあとは、被せ物を作製するために精密な型取りを行います。
後日、ジルコニアセラミクスで作製した被せ物を、接着性に優れたレジンセメントでしっかりと装着し、前歯の審美性を大きく改善しました。

また、患者様は就寝中に歯ぎしりをする癖があるとのことだったため、就寝時に使用するためのナイトガードを作製しました。
ナイトガードは歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を保護するためのマウスピースで、今回は歯ぎしりによる被せ物の破損を防止するために使用していただきます。

経年劣化したレジン充填の部位に関しては、今後患者様と相談しながら適切な治療を行う予定です。
治療期間 3ヶ月
おおよその費用 約480,000円
治療のリスク ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・装着に際し、天然歯を削る場合があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・正しいブラッシングやメンテナンスを行わない場合、虫歯や歯周病のリスクが高まります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です