30代女性 根が割れた歯を抜歯したあとにインプラントを埋め込みしっかり噛めるようにした症例Case

2024.12.25

治療前

治療後

年齢・性別 30代女性
相談内容 「1週間ほど前、固いものを食べたときにバキッという音とともに痛みが出て、前歯がグラグラと揺れ始めた。他院では抜歯してブリッジを勧められたが、ほかの治療があるか聞きたい」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 口腔内の状態を拝見し、レントゲン撮影で詳しく確認したところ、左上の前歯(中切歯)は歯の根っこ(歯根)に近い部分から折れていることが判明しました。
さらに、全体的に歯の変色が見られるとともに、虫歯治療の際に使用された詰め物も経年劣化によって変色し、段差が生じていました。

歯の根が割れた原因として、以下の2つが考えられます。
・小学生の頃、転倒した際に歯の神経を取り除く治療を施したため歯が脆くなった
・繰り返し行った虫歯治療によって歯の厚みが薄くなった

また根が割れた歯をそのまま放置すると、以下のリスクが高まります。
・さらに大きく割れる
・割れた歯の噛む機能を補うため、ほかの歯に負担がかかる
・割れた部分から細菌が侵入し、炎症を引き起こして膿が溜まる。最終的にはあごの骨が溶ける
・口臭や歯ぐきの腫れが生じ、口腔内環境が悪化する

残念ながら根が割れた歯を温存する治療を施したとしても、しっかりと噛める状態に回復させることは困難です。
以上を踏まえ、歯根が割れた歯を抜歯し、その部分を補う治療が必要と診断しました。
行ったご提案・治療内容 左上前歯は温存が難しく抜歯が必要であること、抜歯後の部位を補う方法として以下の2つを提案しました。

①あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物をする「インプラント」
外科手術が必要ですが、しっかりと噛めるようになるのが特徴です。
今回は抜歯と同時にインプラントを埋め込む術式「抜歯即時インプラント埋入手術」を計画しました。
この術式であれば外科手術が一度で済むほか、仮歯を速やかに装着できるため、見た目や噛み合わせの早期回復が期待できます。

②欠損した歯の前後の歯を土台にして人工歯を連結する被せ物「ブリッジ」
外科手術は不要であるものの、土台となる健康な歯を削る必要があり、周囲の歯に負担がかかる可能性があります。

それぞれのメリット・デメリットを丁寧にお伝えしたところ、患者様は「健康な歯を削ることに抵抗がある」との理由から、①のインプラント治療を希望されました。

また、お口全体の歯の色を白くしたいとのご希望がありました。
そこで、歯科医院で行う必要があるものの、即効性があり白く明るい歯に改善できる「オフィスホワイトニング」を行ったうえで、周囲の歯の色味に合わせた被せ物を作製することを提案し、同意いただきました。

一般的に、インプラントを埋め込む手術は抜歯から数ヶ月後に行います。
しかし今回は、抜歯する歯の周囲のあご骨の状態が良好であったため、インプラント抜歯即時埋入手術が可能と判断しています。
この方法により、治療期間を約3ヶ月短縮できました。

術後の経過観察を行っている期間中に、オフィスホワイトニングを3回実施しています。
その後、インプラントの白い被せ物「上部構造」を作製しました。

インプラントと骨がしっかり結合していることを確認後、完成した被せ物がしっかりとフィットし、噛み合わせにも問題がなかったため、インプラントに装着して治療を終了しました。
治療期間 約6ヶ月
おおよその費用 約561,000円
(インプラントとオフィスホワイトニング代等を含む)
治療のリスク ・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・治療中、痛みが出る場合があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・得られる効果は歯の質により様々です。予定通りの白さに達しない場合もあります